里山讃歌

ALの小春と過ごす田舎暮らしを綴っています

 風立ちぬ

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堀辰雄風立ちぬ』読了。

美しい小説です。美しい言葉,美しい文体,美しい情景描写,,,冒頭,主人公は婚約者の節子と白樺の木陰に寝そべって果物をかじっている。木の葉が風に揺れ,その向こうに見える空では,砂のような雲がさらさらと流れている,,,この一瞬の切り取り方,いいですね! そこで間一髪,「風立ちぬ,いざ生きめやも」の名言。風が吹いた,さあ,生きよう,,,と。冒頭から完全に打ち負かされました。

この小説,約80年前に書かれました。80年前といえば,真珠湾攻撃の前で,日本が無謀な戦争に向かって進んでいた時期です。社会情勢も今とは全然違っていました。それでも読んでいて,美しい,好き,愛しさ,希望,覚悟など,本質はあまり今と変わらないと感じました。悲しい物語だけど,あまり悲しさがこみ上げてこない。むしろ,なにか透明な明るさ,清々しさが感じられます。