吉村昭『空白の戦記』読了。
忙しくてなかなか本屋に行けず,何気なく本棚から引っ張り出し再読しました。
太平洋戦争とその準備期間を背景に,世に出ていなかった戦争の裏側のエピソード六編の短編集。吉村さん,綿密な取材による文体や表現,細かい描写,まるでその現場に引き込まれるようです。しかも短時間で読めます。この小説,吉村文学を知るには入門編かもしれません。
戦後70年が経った現在,戦争体験世代の証言に基づいた小説を書くことが難しくなってきました。この「空白の戦記」をはじめとする吉村昭のリアリティに満ちた小説,是非読み継いでいきたいものですね。