里山讃歌

ALの小春と過ごす田舎暮らしを綴っています

 吾輩は猫である

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夏目漱石我輩は猫である』読了。

何十年ぶりかの再読です。『漱石論』を読んで以来,漱石の本が無性に読みたくなり,「猫」を読んでしまいました。苦沙弥,迷亭,,,など,以前読んだときに耳にした名前がでてきて,なんだか懐かしいような。

時代背景など考えながら読みました。特に面白いと感じたのは,「猫」には日露戦争に触れた箇所がちょくちょく出てくることです。漱石が『吾輩は猫である』の第1章を発表して作家としての道を歩みだしたのが明治38年1月,日露戦争で旅順要塞が陥落したときです。文章から漱石の日露戦争感を垣間見ることができます。

2章「小学校時代の明友で戦争に出て死んだり負傷したりしたものの名前が列挙してある,,,名前をいちいち読んだときに,なんだか世の中が味気なくなって人間もつまらないという気が,,,」

4章「知識を以って捏ね上げたる二十八センチの弾丸である,,,」

5章「先達て中から日本は露西亜と大戦争をしているそうだ。我輩は日本の猫だから無論日本贔屓である。出来得べくんば混成猫旅団を組織して露西亜兵を引っ掻いてやりたいと思う位である」
「これから作戦計画だ。どこで鼠と戦争するかといえば無論鼠の出るところでなければならぬ,,,どの方面から来るかなと台所の真中に立って四方を見廻す。何だか東郷大将のような心持ちがする」
などなど

時は明治,,,日露戦争真っ最中,今まさに消えたバルチック艦隊が,いつ,どこに現れるか,日本中の国民の大いなる関心となっているとき,漱石はそうした世の中を見事にユーモアたっぷりに風刺的に表現したようです。社会批判を猫に語らせる。面白い。

ぼくも猫になりたいにゃ。そしたら,わがままで愚かな人間のことなんて考えもせず,毎日昼寝して過ごしたいにゃ。