里山讃歌

ALの小春と過ごす田舎暮らしを綴っています

最近読んだ本

吉村昭ポーツマスの旗』

日露戦争。面積,人口,工業生産,軍事費,戦費,兵力,,,あらゆる面で大きく日本を上回るロシア。その地球を覆うほどの大国であるロシアにかろうじて勝利。真実は,勝利というには程遠い。ロシアが戦争をやめてなければ圧倒的に日本を叩きのめし,北海道かどこかがロシア領になっていたかも。

 

奉天の大会戦をなんとか勝利して児玉源太郎が日本に帰ってくる。砲弾も兵力を底をつき,もうだめだの状況。でも日本がこれだけ疲弊しているのは軍事機密。仲介に入ったアメリカのルーズベルト大統領でさえこのまま戦争を続ければ日本が勝つだろうと思っていた。

 

そして1905年,アメリカのポーツマスで講和会議が開かれる。日本の全権は小村寿太郎,ロシア全権はウィッテ。ウィッテは思う「ロシアは負けてはいない,,,」。小村とウィッテの緊迫する交渉過程,本書で外交交渉とは何たるかを肌で感じることができます。日本の新聞は勝ったと騒いでいる。しかし賠償金も取れない。日本は大きな犠牲を払ったにもかかわらず,それに見合う対価を得ることができなかった。そしてポーツマス条約反対を唱える民衆は大臣官邸や新聞社を襲う。世に言う日比谷焼打事件である。

 

この事件をきっかけに,明治の先人たちが坂の上の雲をつかもうと必死になって築いてきた近代日本は,まさに坂の上から急転直下に転げ落ちる大東亜戦争の大敗北,という歴史のうねりに身を投じていくのであります。

 

ポーツマス条約締結時,日露戦争の真実を民衆に伝える勇気あるジャーナリズムが日本に存在しなかったことが非常に残念でなりません。

 

笹本稜平『春を背負って』

人は誰しも何かを抱えて生きている。息苦しくて溺れるように生きている。苦しみ,悲しみ,辛さ,,,そんな時に読みたい一冊です。

 

山岳小説は,山行の厳しさや冬山の世界が描かれることが多いですが,本書は山小屋で展開される人生模様を中心に描かれいます。ちがった角度からの山岳小説。哲学的な言葉や人情や命の大切さなど,読み終えた後にほっこりと優しくなれる自分がいることに気づきます。人生,まだまだ捨てたもんじゃありません。

 

映画化されてるみたいなので,そのうち見て見たいと思います。

 

 

オーストラリアンラブラドゥードルの小春さん,先週,ちょっと体調を崩してしまい病院へ(嘔吐と下痢)。体調を崩したのは我が家に来て以来初めてです。軽い胃腸炎との診断。お注射と点滴をしました。次の日にはお腹が空いて暴れまわるほどに回復。

 

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まだまだ夏の緑です。

 

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夕方はだいぶ涼しくなってきました。

 

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風船葛の隙間から外の様子をよく眺めています。

 

小春さん,食べ過ぎ飲み過ぎには注意しましょう。人間どもも同様に,,,

ポーツマスの旗 (新潮文庫)

ポーツマスの旗 (新潮文庫)

 
春を背負って (文春文庫)

春を背負って (文春文庫)