里山讃歌

ALの小春と過ごす田舎暮らしを綴っています

プロコフィエフ

2018年6月3日(日)14:00〜 日立シビックセンター音楽ホール

 

日立交響楽団 第125回定期演奏会(指揮:相良 浩)

 

曲目 J・シュトラウス2世:喜歌劇「こうもり」より 序曲

 

   プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第2番

   (ピアノ:長瀬賢弘)

 

   ブラームス交響曲第1番ハ短調 作品68

 

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スカルラッティやバッハなど,聴いてて音が自然に体に染み入ってくるというか,バロック音楽のような幾何学的な美の調和の世界が好きで,情を煽るロマン派なども聴きますが,あまり積極的ではありません。そんなものですから,ましてや近代音楽のプロコフィエフにはあまり馴染みがありませんでした。ピアノコンチェルトの3番はよく聴きましたが。

 

今回,プロコフィエフのピアノコンチェルト2番に深く関わり,プロコフィエフに対する受け止めが大きく方向転換するきっかけとなりました。

 

ソリストの長瀬さんは東京芸術大学モスクワ音楽院で学んだピアニストでプロコフィエフの研究家でもあります。以前,震災の時に日立市いわき市で,チャイコフスキーのピアノコンチェルトで2回共演したことがあります。今はプロコフィエフの全曲演奏に取り組んいるとのことでした。

 

その長瀬さんと定期演奏会終了後のレセプションでお話しする機会があり,プロコフィエフについての興味深いお話をたくさん聞くことができました。

 

ピアノコンチェルト2番は彼が学生時代に書いた作品です。学生時代は反骨精神旺盛で,学校の古臭いしきたりに真正面からぶつかっていくような性格だったようで,初期作品は,そういう彼の性格が反映されているものが多いとのことでした。

 

初演の時は評価が真っ二つに別れたそうです。保守的な人は「あんなの音楽じゃない」,前衛的な人からは絶賛されたとのこと。

 

斬新な響きが多いが構造は古典的でそんなに突付きにくくはないとのこと(最初は難しかったが)。プロコフィエフの音楽は,なんかわかんないときは黙って10回聴くと逆に頭から離れなくなる中毒性があるようです。

 

1楽章はソナタ形式。深い叙情をたたえた第1テーマ,リズム感と皮肉が同居した第2テーマ。二つの主題が素晴らしい。ふつうピアコンでは,カデンツァは長くて数分ですが,この曲は半分以上がカデンツァ,それも超絶技巧。

 

2楽章はスケルツォですがスタイルとしてはトッカータかな。無窮動で動いていく。

ピアノパートは16分音符をオクターブのユニゾンでずっと弾いていきます。技術的にとても難しい。ピアノは一切休みなしで駆け抜ける風のように過ぎていきます。

 

3楽章は重厚で深い味わいの曲。オペラの一場面のようです。晩年にたくさんオペラを書いたプロコフィエフ。場面の描写で重い音を書いている。まるで巨人が歩くような深い深いリズムです。やってることはシンプル。秩序だった重厚さで始まるが,それがだんだん崩壊していく。響きもだんだん崩れていく感じ。人のエゴイズムがむき出しになっている。皮肉とグロテスクさが目立つ楽章です。 

 

4楽章はオーケストラ的にはとても難しいです。ピアノも技術的に超絶技巧。その技術と反骨的な皮肉が同居した素晴らしいテーマが曲中に出てきます。民謡風の旋律も出てきます。曲全体にみなぎるエネルギー,プロコフィエフらしさをこれでもかと豪華に彩った楽章。ピアノも上から下までこれでもかと弾きまくる。オーケストラをも酷使してとって華やかな楽章です。

 

ピアノコンチェルト第2番は間違いなくプロコフィエフの最高傑作のひとつですね。今はあまり生演奏される機会がありませんが,15年後にはいろんなところで演奏されるようになるとのことでした。

 

 

いやー,勉強になりました。また,時代を先取りしてピアノ協奏曲第2番を演奏できたことに感謝です。「こうもり」と「ブラ1」もよかった。

 

 

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オーストラリアンラブラドゥードルの小春さん,快食,快便,快眠,とても元気。相変わらず,飼い主同様,ゆるい生活を送っています。

 

6月のオーナーズパーティーを楽しみにしているようです。